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《エッセイ》
文章に恋して
私は白髪まじりの五十二歳。
よく漫画家でイラストレーターの蛭子能収氏に似ていると言われる。
最近、人間ドックの数値が気になりだし、何とかしなければと一念発起、スポーツジムへ通っている。けれど元来食べることが大好きで、そのせいか、一向に体質改善が出来ていない。それでも諦めずに自転車をこいだり、筋トレしたり、ジムで体を動かすことを続けていた。
ところが、そのことで、とうとう腰を痛めてしまった。
今は、痛みに堪えながら、そして人生に少し疲れながらも、毎日必死に頑張るオヤジなのだ。
サラリーマンの私は、いつも実用本ばかりを読んでいた。
「それ以外、特に興味がなかった」と言うよりも、実は他の本を読んでも何だか無駄のように感じていた。
今思えば、とても後悔をしている。
そんな私が、ある日、文章の魅力に取りつかれた。
美しい言葉、心に残る表現や単語と出会うと心がときめき、知らず知らずに文章にはまっていた。まるで恋をしたようだ。
きっかけは、職場全体の方針案を作成したとき、その表現が「とてもいいね。いったい誰が書いたの」と話題になったことだ。
もちろん、私は下書き役、ゴーストライターだから当然知らない顔をしていた。
それ以来、私は心に留まる、ひっかかりを求めて文章を読むようになり、気になる言葉、文章を見つけると嬉しくてたまらなくなった。それが高じて私自身が書くことに興味を持った。
今は「私が書いた文章を読んで、少しの微笑みや感動を与えられたらどんなに素晴らしいことだろうか」と考えながら文章を書くこと楽しんでいる。
書くことは今の私にとって、生きること、生活そのものとなっている。
音楽を聴いても、新聞を見ても、人と話しても、心に残る単語や表現に出会うと、とても幸せな気分になる。
文章教室の松尾先生は「自分自身の言葉で伝えてほしい」といつも言っている。もっともっと自身の感性を磨き、研ぎ澄まして、文章に取り組んでいきたいと思っている。
そして、いつか入選してデビューできればいいなと思っている。
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